はじめに
長く厳しい暑さの続いた2025年夏が終わり、急な冷え込みとともにぐっと秋が深まりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。今年は早々に季節性インフルエンザの流行が始まっています。これからますま気温も下がり、インフルエンザに罹る患者さんが増えることが予想されます。今回はインフルエンザについて、簡単にまとめてみました。
季節性インフルエンザについて
病気の特徴
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「インフルエンザウイルス」に感染して起こる病気です。
- インフルエンザウイルスのうち、A型とB型の感染力はとても強く、日本では毎年約1000万人、およそ10人に1人が感染しています。軽症で回復する人もいますが、中には、肺炎や脳症などを併発して重症化してしまう人もいます。
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急に高い熱(38℃以上になることが多い)、強いだるさ、頭痛、筋肉・関節の痛みなどが出て、風邪とは少し違って全身症状が強く出るのが特徴です。
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子どもや高齢者・持病がある方では、肺炎などの重い合併症の可能性もあります。
感染経路
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主に 咳やくしゃみのしぶき(飛沫) で周りの人にうつります。主な感染場所:学校や職場などの人が多く集まる場所
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また、ウイルスがついた手で鼻や口を触る 接触感染 もあるため、手洗いや手指清潔が大切です。→主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど
流行の時期
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日本では、例年 12月〜3月ごろ にインフルエンザの流行が多いです。(今年はすでに流行期に入っています。)
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流行が始まると短期間に多くの方に広がるため、注意が必要です。
感染したときの症状
- 潜伏期間は1~4日、症状が出る前日から発症後約5~7日まで感染力があります。おおむね1週間以内に軽快しますが、咳・痰、倦怠感が2週間以上持続することもあります。
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主な症状は、急な高熱、全身のだるさ、頭痛、筋肉・関節痛
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のどの痛み、咳、鼻水も出ることがあります
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小さいお子さんでは 吐き気や下痢 が出ることもあります

重症化リスクが高い方
次のような方は、インフルエンザにかかると症状が重くなる可能性があります。
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65歳以上の高齢者
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小さいお子さん(特に2歳未満)
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妊婦さん
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持病のある人
- 喘息を持つ方
- 慢性呼吸器疾患(COPD)を持つ方
- 心臓病を持つ方
- 糖尿病を持つ方
- 免疫不全のある方
- 他、重症な基礎疾患のある人
治療・受診の目安
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発症したらできるだけ 早めに医療機関を受診することが大切です。
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抗インフルエンザ薬が適用となる場合があり、症状を軽くしたり回復を早めたりすることがあります。
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発症前日〜発症後3〜7日間はウイルスの排出があるため、外出を控えることが推奨されています。
インフルエンザかな?と思ったら?
①安静にする
睡眠を十分にとるなど安静にしましょう。
②水分補給
高熱による発汗での脱水症状を予防するために、特に症状がある間は、こまめに水分の補給が必要です。
③具合が悪ければ早めに医療機関へ
もし、高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなど具合が悪ければ、早めに医療機関(内科や小児科など)を受診しましょう。特に、幼児や高齢者、持病のある人、妊娠中の女性は、肺炎や脳症などの合併症が現れるなど、重症化する可能性があります。
※発熱12時間未満の場合、検査の結果が陽性にならないことがあります(検査は発熱後12時間以上経過してから受けることをおすすめします)。
こんな症状があったらすぐに医療機関を受診してください
- けいれんしたり呼びかけに応えない。
- 呼吸が速い、又は息切れがある。
- 呼吸困難、苦しそう。
- 顔色が悪い、青白い。
- 嘔吐や下痢が続いている。
- 症状が長引いてだんだん悪化してきた。
- 胸の痛みが続いている。
④薬は医師の指示に従って正しく服用
医師が必要と認めた場合には、抗インフルエンザウイルス薬が処方されます。抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1日から2日間短縮され、ウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから48時間以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できませんが、医師の指示(用法や用量、服用する日数など)を守って服用してください。
予防のポイント
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ワクチン接種:インフルエンザにかかるリスクや重症化リスクを下げる効果があります。完全にかからなくなるわけではありませんが、非常に有効です。
インフルエンザを発病した後、多くの人は1週間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、重症化してしまう人もいます。インフルエンザワクチンを打つことで、発病の可能性を減らすことや、重症化を予防することが期待できます。なお、接種回数は、13歳以上は原則1回、13歳未満は2回となります。
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手洗い・うがい・人混みを避ける・マスク着用:流行時期には特に有効な基本対策です。
ウイルスの体内侵入を防ぐため以下のことを心がけましょう。
- 帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗う。
- ウイルスは石けんに弱いため、次の正しい方法で石けんを使う。
- アルコール製剤による手指衛生も効果があります。
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室内では 適度な湿度(50〜60%程度) を保つと、のどの粘膜が守られやすくなります。空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。
- 十分な休養とバランスのとれた栄養:体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。
- 人混みを避ける:インフルエンザが流行してきたら、特に高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出して人混みへ出向く場合、不織布マスクの着用は予防策となります。

外出・復帰の目安
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学校保健安全法では、発症した後「5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで」の出席停止とされています。
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職場の復帰にあたっては、一般的に 治癒証明書・陰性証明書を必ず提出する必要はない とされています。
さいごに
インフルエンザは毎年流行する病気ですが、ワクチン接種+基本的な予防対策+早めの受診によって、重症化や合併症をかなり防ぐことができます。特に持病をお持ちの方やご家族にいる方は、予防をしっかり意識しましょう。具合が悪くなったときには、遠慮せず病院へにご相談ください。
参考文献;
おおやぶ内科・整形外科 副院長 大藪 知香子
糖尿病内科専門医・指導医 総合内科専門医