昨年10月ごろから、COVID-19感染者の数もようやく落ち着き、行動緩和がなされていた中、

やはり年末年始の人の移動を機に、徐々に再燃してきました。

京都でも例に漏れず、感染者数が急増しているようです。

おそらく、2月初旬より3回目のコロナワクチン接種が始まるかと思いますので、十分に免疫をつける事をお勧めします。

 

糖尿病があると、新型コロナ感染で重症化しやすい?

 

糖尿病をもつ方は、何らかのウイルスや細菌に感染した場合、重症化しやすいことが分かっています。

 

実際にレポートされた、米国からの報告です。

2020年2月~3月での新型コロナ感染者において、入院した患者、重症(ICU管理)患者の割合は、

明らかに糖尿病を持つ方が多かったとあります。

中国やイタリアからの報告でも、同様の傾向が得られています。

 

下図;日糖協のHPから抜粋

 

 

糖尿病をもつと、新型コロナ感染の重症化リスクが3.4倍に上昇

 

JMDC(日本の疫学データ管理会社)のデータによると、糖尿病をもつ患者さん(糖尿病治療を受けている方)は、そうでない方と比べて

COVID-19に感染した際の重症化リスクが高いことが分かりました。

2021年2月末までにCOVID-19で入院した約7,300名のうち、185名が『重症化(ICU管理)』しました。

この重症化した方々の背景から解析した結果です。

 

①糖尿病があると重症化リスクが3-4倍

②肥満(BMI>25)あると重症化リスクが1.8倍

③喫煙歴があると重症化リスクが1.6倍

④高血圧があると重症化リスクが1.6倍

 

こちらのデータだけでは、糖尿病の程度(HbA1cがどれほどか)による差が明らかではありません。

いずれにしても、糖尿病患者さんは特に感染対策を心がけ、早期のワクチン接種が望ましいと考えます。

 

なぜ、糖尿病で重症化しやすいの?

 

糖尿病をもつ方において、COVID-19重症化リスクが高くなる理由として、糖尿病では免疫力が下がることがあげられます。

①体内に侵入したウイルスや細菌を排除する白血球の働きが弱まる

②ウイルスや細菌の侵入を防御する抗体をつくる力が弱まる

③血流が悪いため、病原体に打ち勝てない

④感染を起こすと、より血糖が上がって悪循環になる

もちろん、血糖コントロールが安定している患者さんは、しっかりと免疫力も保たれます。

 

良好な糖尿病コントロールがとても大切です

 

中国からの報告では、血糖コントロール良好群(平均HbA1c 7.3%)とコントロール不良群(平均HbA1c 8.1%)では、

明らかにコントロール不良群の死亡率が高かったとの結果でした。

 

下図;日糖協のHPから抜粋

 

 

米国糖尿病学会(ADA)より、『糖尿病はCOVID-19重症化の重要な危険因子であり、糖尿病の治療が大変重要であるという意識が必要』とのコメントがなされています。

感染の蔓延による自粛が強いられることにより、活動量の低下、長い座位時間、スマホやパソコン依存、生活リズムの乱れ、不眠、

ストレス、不健康な食習慣・・など健康に支障をきたしているケースも見受けられます。

 

 ・人込みを避けて、マスクをして、短時間でも外出するようにしましょう。(外の空気は気持ちいい!)

 ・自宅でも体操やストレッチ、筋トレ、家事(掃除など)が良い運動になります。(新たな日課に!)

 ・スマホ・パソコン疲れに陥らないよう、少し離れてみましょう

 ・『早寝、早起き、1日3食、規則正しく』は、間違いなく良いです。

 ・外食しない分はコロナ節約!家庭の味、素材の味をじっくり楽しみましょう。

 ・日中によく活動して、頭を使って、夜は何も考えずにしっかり寝ましょう。

 ・今しかできないこと(読書、音楽、家庭菜園など)を見つけて、前向きに過ごしましょう。

 

コロナウイルスに罹らずとも、誰しもが身体に弊害が起こりかねない社会で、皆さまの健康を

維持するために何とかサポートしていきたいと思っている今日この頃です。

 

何とか、毎日の食事や運動、睡眠のリズムが崩れないように、

ストレスコントロールが乱れないように、

一緒に頑張っていきましょう。

 

おおやぶ内科・整形外科 副院長 大藪 知香子

糖尿病内科専門医・指導医  総合内科専門医