改めて見直したい災害対策
災害はいつどこで起こるか分かりません。
地震、台風、洪水などの災害時に助けになるのが日頃の備えです。自分で対処できるよう準備しておきましょう。
もし被災したら・・・ 災害の心構え7か条
1.自分や家族の身を守る
棚が倒れたり、高いところから物が 落ちたりするので、机の下などに隠れて身体を守りましょう。あわてて 逃げると割れたガラスや食器でけがをするので、周りをよく見回しながら移動しましょう。
2.正しい情報を確認する
あわてず正しい情報を入手しましょう。 テレビ、ラジオ、カーナビ、ワンセグ対応携帯電話などが便利です。 正しい情報を確認しましょう。
- テレビ・ラジオでの緊急地震速報 強い地震を事前に知らせる「緊急地震速報」が流れたら落ち着いて対処しましょう。
- 運転中に地震が起きたら 運転中に地震を感じたら、急ブレーキを踏まず、 ハザードランプを点けてゆっくりと道路脇に停車してください。
3.家族や友人と連絡をとる
災害のとき、もっとも心配なのは離れている家族の安否です。 いざという時に使えるよう に緊急時の連絡方法を家族で決めて必ず練習しておいてください。災害用伝言ダイヤル(NTT)や携帯電話・スマートフォンの災害用伝言サービスが便利です。
4.3日間は自力で乗り切る
①非常用キットを準備しておきましょう
大災害が起こると、日本ではすぐに災害対策本部が設置され、救援活動が開始されます。しかし、どこでもすぐに物資が届くとは限りません。 災害後3日間は「自分の身は自分で守る」という意識を持ち、非常用キットを準備しておきましょう。
②避難所を確認しましょう
避難所には多くの被災者が押し寄せ、満員になってしまう場合もあります。1か所ではなく、2~3か所の避難所をあらかじめ家族みんなで確認しておきましょう。
5.自分の治療方法が言える (糖尿病手帳を持ち歩くなど)
災害時は病院や避難所などに緊急の医療体制が展開されます。最初は重症の患者さんが優先されるので、自分で対処できるようにしておくと良いでしょう。
災害時の対処法を日頃から主治医や家族とよく話し合っておきましょう
災害後、通院中の病院で診てもらえるとは限りません。通院できない場合でも適切な対処ができるよう、治療薬の予備や糖尿病食の蓄えなどについて主治医に相談しておきましょう。
重要な薬は覚えておきましょう
「白くて丸い玉の薬」といっても何の薬かわかりません。大切な薬だけでも、名前が言えるようにしておいてください。
6.災害生活のセルフケアを心がける
避難所や車中などで長期にわたって過ごさなければならない場合があります。そんなとき、自分の身体を守るため に「セルフケア」を心がけることが大切です。
①水分はしっかりと摂りましょう
避難所ではトイレが不便なため、 水分補給を制限しがちです。しかし、 水分が不足すると便秘や脱水症状をきたし、血糖コントロールが悪化します。その結果、血管の中で血栓 (血のかたまり)ができたり、詰まったりします。こまめに水分を摂りましょう
血栓が詰まるとこんな病気に・・・
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)
などに注意しましょう。
②食事の目安量を覚えておきましょう。
避難所などで支給される食事はおにぎりや菓子パン、インスタントラーメンなど炭水化物が中心のため、エネルギー量や栄養素、塩分のバランスが崩れがちになります。普段から食事の目安量を覚えておきましょう。
③頻繁に測定してみましょう
自分がうまくセルフケアできているのかを確認するために、さまざまな数値を測りましょう。測定器を持っていない方は医療スタッフに相談してください。
- 体重測定
太ってきた:食べ過ぎと運動不足に注意しましょう。
やせてきた:血糖コントロールの悪化が心配です。
- 血圧測定
高い時:塩分の取りすぎと降圧薬の中断、不眠やストレスがたまっている可能性があります。
- 血糖測定
自分で血糖測定器を持っている方は食事の前後にチェックしてください。
④治療を中断しないように
薬物療法をしている方もそうでない方も治療を中断しないでください。
⑤感染症やけがを予防しましょう
避難所では、人が多く、換気も不十分のため、感染症にかかりやすくなります。また、神経障害があるとけがに気づきにくくなります。足のけがには注意し、くつや室内履きを用意しましょう。
⑥軽い運動や体操をしましょう
避難所や車中などに長くいると、運動不足で血糖コントロールが悪化します。また、車中などで同じ姿勢を続けていると、足に血栓ができて詰まる危険性もあります。
避難所でできる軽い運動
- 散歩
- 足の屈伸
- ラジオ体操
⑦ストレスをためないように
災害後は多くのストレスがかかります。家族や友人に相談することや、散歩などで気分転換を図りましょう。それでも良くならないときは医療スタッフに相談しましょう。
7.地域でのコミュニケーションを大切に
日頃から地域のコミュニケーションを大切にして助け合う気持ちを持ちましょう。
- 非常用持ち出し袋を自宅に準備しておくことに加えて、職場や学校のロッカー、持ち歩いているかばん・バッグの中に、携帯キット版を持つのも良い手段です。
- 皆さんは日頃の外出時に、いざという時のための備えを携帯していますか?
- 定期的に見直してみましょう。
- 水や食料といった一般的な非常用キットに加え、治療薬や血糖測定器などの医薬品もすぐに持ち出せるようにまとめておきましょう。
参考文献
1)日本糖尿病療養指導士認定機構、糖尿病療養指導士ガイドブック:2021:P230:メディカルレビュー社:2021
2)糖尿病患者さんのための災害マニュアル:ONETOUCH
おおやぶ内科・整形外科
看護師・糖尿病療養指導士
森 友美