みなさん、毎日ご自分の足を見ていますか?傷はありませんか?

糖尿病の方は血糖コントロールが不良な状態が続くと、いろいろな合併症がおこりますが、合併症の1つに足病変があります。

 

糖尿病足病変

糖尿病足病変とは、糖尿病の患者に生じる足のトラブルの総称を糖尿病足病変といいます。病変には、足に生じる水虫や細菌感染による病変、たこやうおのめ、足の潰瘍や変形などがあります。さらに重症になると壊疽(えそ)という組織が死んでしまった状態になり、最悪の場合は足を切断することもあります。こうした状態になるのを避けるためには、糖尿病自体の治療をしっかり行って、①血糖を適切な状態に保つことと、②毎日足の状態をよく観察して早く異常を見つけることが大事です。

 

足病変を防いで、健康な足を保つためのフットケア

これから寒い冬は特にフットケアに注意する必要があることをみなさんご存知でしょうか?

ご自分の感覚のみに頼らないで、気候の変化に合わせて適切なケアを行い、足を健康に保つ必要があります。

 

冬に合わせた適切なケア?

★足病変に特に注意したい冬に行うフットケアについてのアドバイス★

 足を毎日チェックする
足のお手入れの基本は、毎日足をチェックすることです。切り傷や水疱、赤みなどないかハンドミラーを使って確認しましょう。足の甲だけでなく足の裏や指の間などもしっかりチェックしてください。もし、問題があった場合は、できるだけ早く医師に見てもらってくださいね。

 足が濡れたときはしっかり乾燥させる
冬にはブーツなど通気性の悪い靴を履く機会が増えますが、雨や雪が降ると靴の中が蒸れやすくなります。この蒸れた状態は殺菌が発生しやすい環境であるため、感染が引き起こされやすくなります。

足を洗った後や足がぬれている場合は、皮膚を傷つけないよう押さえるようにしてタオルで水気をふきとりましょう。そして、足をきれいにした後は、靴下を代えるようにしましょう。

 冬は足も乾燥しやすい 保湿して乾燥対策を
冬は夏に比べて乾燥することはみなさん実感されていると思いますが、足裏は特に乾燥しやすい部位です。足の皮膚が乾燥している場合は、保湿クリームなどを塗って保湿し、ひび割れを起こさないようにしましょう。

保湿クリームは、指の間を避けて、足先も忘れず足全体に満遍なく塗りましょう。指の間に塗ると水虫の原因になるので注意してくださいね。

 神経障害が進行すると、温度に対する感覚が鈍くなる
合併症の中でも早期にあらわれ、頻度がもっとも高いものが神経障害です。神経障害が進むと皮膚の温度に対する感覚が鈍くなるため、暖房器具の温度を高めに設定したりすることや、必要以上に長時間使用してしまうことがあります。その結果、「低温やけど」を起こし、そのまま放っておくと傷がひどくなり、感染を起こし、壊疽まで進展してしまう場合があります。

 「低温やけど」に注意 暖房器具を高めに設定しない、長時間使用しない
寒くなると、こたつやあんか、カイロ、ホットカーペット、電気ストーブを使う頻度が増えると思います。「低温やけど」は、体温より少し高い40度程度でも起こります。低温やけどの主な原因には、電気ストーブやカイロ、コタツ、電気毛布など冬によく使う身近なものがあり、低温やけどをしても重症ではないと思い込んで放置し、重症化することが少なくありません。低温やけどは、低い温度でも皮膚に直接当たる時間が長いほど起こりやすいです。また、寝ているときは感覚が鈍くなり、さらに同じ姿勢で長時間いるので、寝ているときも低温やけどが起こりやすいといえます。ヒーターの吹き出し口に足を向けて寝る、ホットカーペットの上で寝る、などは低温やけどの原因になるので、直接肌に当たらないように気を付けましょう。

湯たんぽやあんかは就寝前に布団に入れて寝る時は出す、暖房器具を使う代わりに衣類や掛物で調整するなど工夫をしましょう。寒い冬に使っている身近なものでも低温やけどになります。暖かいとうっかり寝てしまうこともあるので、より注意しないといけないと思います。また、靴の中に入れるカイロや、貼り付け式カイロを使用しないようにしましょう。

 

なぜ、冬に足がつりやすくなるのか?

 就寝中に急にふくらはぎなどがつった経験はありませんか? 糖尿病患者さんは神経障害のために、よく足がつることがあります。糖尿病で末梢の血流の循環が悪くなっていることも、原因のひとつと考えられます。

もうひとつの原因は水分不足です。冬になると、水分の摂取量が減るため、就寝中に脱水症状を起こし、血流障害が生じやすくなります。

予防するために、水分を適切に摂取することが必要です。足がつるのを防ぐために、就寝前や、風呂から出た後に、水分制限のない方はコップ1杯の水分を摂るようにしましょう。また、ストレッチや軽い運動で血流を改善してから就寝すると効果的だと言われています。

 

  • 当院では、予約制でフットケアをしています。フットケアについてお困りのことがありましたら、お気軽にご相談下さい。

※引用元:糖尿病ネットワーク
糖尿病のフットケア 寒い冬に足を守るための5つのアドバイス – 2017年

 

おおやぶ内科・整形外科

看護師・糖尿病療養指導士

森 友美