6月4日から6月10日は歯の衛生週間です!

 

 

歯周病と糖尿病は、深い関係だって知っていますか?   

 

歯周病とは、プラーク(歯垢)が主な原因となり、歯を支える組織が炎症を起こす病気です。プラークとは「細菌のかたまり」で、放置しておくと歯を支えている骨を破壊し、歯を失うことにもなります。プラークを放置していることが歯周病の一番の原因です。しかし、初期には痛みなどの自覚症状がほとんどないため知らないうちに進行することが多いとされています。

歯周病は糖尿病の6番目の合併症ともいわれるほど、糖尿病の患者さんは歯周病になりやすく重症化しやすいです。その理由は唾液の分泌が少ないためで、プラークがつきやすくなります。糖尿病患者さんの歯周病の発症リスクは健常な人の2~3倍といわれます。

歯周病があると身体に慢性的に炎症があることになり、血糖コントロールは悪化します。また、糖尿病があり、血糖コントロールが悪いと細菌などと戦う力が弱くなり、歯周病は悪化します。

歯周病を治療すると、インスリンに対する細胞の感受性が良くなり血糖値が改善することがわかっています。

歯周病はさらに、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患や感染性心内膜炎、呼吸器疾患、低体重児出産などの誘因となる可能性が指摘されています。

 

  • 糖尿病患者さんも、そうでない方も、歯周病を放置しないために定期的に歯科医のチェックを受けるようにしましょう。

 

歯を守ろう!上手の歯磨きとは?

歯周病は歯の付け根(歯と歯茎の境目)から進行していきます。
そこで、歯周病予防を意識した歯磨きでは、歯と歯の付け根の汚れ(歯垢(しこう)をきれいに落とすことが特に重要となります。歯と歯の間を磨くときは、歯ブラシだけではなく歯間ブラシやデンタルフロスを使用すると効果的です。毎食後ていねいに口腔ケアをおこないましょう。

肝心な場所に歯ブラシの毛先を届かせるためにはコツがありますが、自分で出来ているのかはわかりにくいものです。歯科医や歯科衛生士の歯磨き指導を受け、磨き方を教わるのもよいでしょう。
ご自身の口の中に関心を持ち、上手な歯磨きによって、お口の中の健康を自分自身で守っていけるようにしましょう。

 

 

 

歯磨きのポイント

  • 歯磨き粉はたくさんつけすぎない
  • 歯の表面だけでなく歯と歯のあいだ、歯と歯茎のあいだをしっかり磨く
  • 歯周病のある人はやわらかめの歯ブラシを使う
  • 歯ブラシは毛足が開く前に早めに交換しましょう。

 

歯周病を改善・予防するために

  • 糖尿病の血糖コントロールを徹底しましょう
  • 食生活やライフスタイルを見直し、糖尿病や歯周病を悪化させないような習慣を身につけましょう
  • 入れ歯をお使いの方は、カビなどが繁殖しないように、いつも清潔に保ちましょう
  • 禁煙を心がけましょう(タバコを吸う人は吸わない人より歯周病になりやすいことが分かっています。タバコに含まれるニコチンは血流を悪くさせるので、糖尿病治療にも影響を及ぼします)
  • 定期的な歯科受診をすることが重要です

 

オーラルセルフチェック

  • オーラルセルフチェックを参考にして、口の中の異常を感じたら、早めに歯科受診するように心がけましょう。

 

あなたは、いくつ当てはまりますか?該当する項目があれば歯周病の可能性があります。すぐに歯科医を受診しましょう。

 

  1. グラグラ動く歯がある
  2. 歯を磨いた時、歯茎から出血が出る
  3. 歯がしみる
  4. 歯茎が赤く腫れている
  5. 歯のすき間が広がってきた
  6. 歯茎が下がり、最近歯が長くなったような気がする
  7. 口臭があると言われる
  8. 食べ物が噛み切りにくくなってきた
  9. 朝起きたとき口の中がネバネバする
  10. 食べ物が歯の間によく挟まる
  11. 近親者が重度の歯周病である

 

 

歯科医を受診するときの注意点

 

  • 飲んだいるお薬の種類を伝えましょう。
  • 糖尿病であることを必ず歯科医に伝え、糖尿病連携手帳をお持ちの方は持参しましょう。皆さま糖尿病連携手帳はご存じでしょうか。糖尿病連携手帳は眼科の項目以外にも歯科の項目もありますので、歯科の定期受診の際にお役立て下さい。

 

最後に・・・

かかりつけの歯科医をつくり、定期的に受診をしましょう。

そして、自分の歯でおいしく食事をするためにもより良い生活習慣を心掛けましょう。

 

 

 

参考文献

1)日本糖尿病療養指導士認定機構、糖尿病療養指導士ガイドブック:2021:P209-210

:メディカルレビュー社:2021

2)糖尿病患者さんが心がける歯周病の予防:ONETOUCH

3)すぐに使える!究極の糖尿病患者説明シート50:P206-209:メディカ出版社:2012

 

おおやぶ内科・整形外科

看護師・糖尿病療養指導士

森 友美