コロナ禍に加えて、冬の厳しい寒さや年末年始のゆったり期間で、運動不足になっている方がたくさんおられますね。
私も年末は少し運動しましたが、年始からはのんびりしており身体が訛っています。
運動しないといけないことは分かっていても、なかなか重い腰が上がらない。。
まず出来ることから、ゆるーく始めてみましょう。
簡単に運動をはじめるポイント
1、動きやすい服と靴を準備する
まずは形から。お気に入りのものがあれば、尚良しです。
朝起きて着てしまえば、とりあえず散歩に行きたくなるかもしれません。
冬の間は十分に暖かくして外出すると、より楽しめますね。
2、運動する場所を決める
自宅の庭、近くの公園、ジム、買い物や駅に行くついで、
毎日続けられる場所、気持ちが上がる場所を考えてみてください。
平日と休日、腫れの日と雨の日とで切り替えても良いでしょう。
3、歩数計を携帯する
今の携帯電話の多くは歩数計が内蔵されており、便利ですね。
ドラッグストア等でも安価で手に入るので、ぜひ活用してください。
今の現状、散歩やお出かけした時の効果を知ることができます。
合格ラインを決めて、目標を徐々に上げていくとモチベーションも上がります。
4、日常生活の少しの工夫
仕事や家事、介護などでなかなか十分な運動時間が取れない方は、NEAT(非運動性熱産生)を増やしましょう。NEATとは、スポーツとしての運動ではなく、家事、買い物、仕事、その他の日常的な作業における活動量です。
いつもよりしっかりお風呂掃除、窓ふきや床掃除、遠くのお店へ買い出し、洗車、エレベーターから階段への切り替え等、身近に出来ることが色々りそうですね。
5、座位時間を減らす
1日中、テレビのお守りをしている方、テレワーク、デスクワークばかりの方、なかなか運動まではハードルが高いですね。
まずは座っている時間を減らし、チャンスがあれば立ったり少し歩き回ったりしてみましょう。
30分毎に立ったり歩いたりすることで、血糖値を下げる効果が示されています。
30分でタイマーをかけて、キッチンやトイレに立つ、ストレッチや体操をする、というのはいかがでしょうか。
このような習慣が定着してくると、次のステップが軽くなります。
運動すると、何が起こるのでしょう?
1、1回の運動で、血糖が筋肉に取り込まれて消費される。
これは運動がキツく長いほど、多く取り込まれて消費されます。その結果、血糖がよく下がります。
2、運動後3時間にわたり、筋肉に血糖が取り込まれ続ける。
運動が終わって3時間の回復期にも、効果が続きます。
3、さらに運動後48時間にわたり、筋肉のインスリン感受性が高まる。
『インスリン感受性』とは、インスリンの効きが良くなることです。
肥満、内臓脂肪が多い方は、インスリンの効きが悪い(インスリン抵抗性が強い)ため、糖尿病になりやすいことが分かっています。
この『インスリン感受性』が高まると、血糖が下がりやすく、血糖を消費しやすい状態になります。
運動後48時間は、インスリンの効きを良くして、より糖が筋肉に取り込まれ、血糖が下がる効果が持続します。
4、運動の継続は、より良い効果を生み出す
運動を毎日続けることにより、先ほどお話した『インスリン感受性』が高まる時間が72時間になります。
こうしてインスリン感受性を高め続けることで、糖尿病になりにくい体質を得られる、またすでに糖尿病の方は、
薬に頼らず糖尿病を治せる可能性も出てきます。
実際に、どのような運動が効果的でしょう?
運動の強さ、時間ともに、やればやるほど様々な良い効果が出ることはもちろんです。
ただ、インスリン感受性を上げるの点でみると、実は運動の強さによってそれほど違いがないとの報告があります。
つまり、身体がキツイと感じる強い運動ではなく、低~中くらいの運動を長く、継続して続ける方が長い目で見ると良さそうです。
★運動の具体例★
● 低度の運動; ストレッチ、バランス運動、ヨガ、散歩 立ち話、食器洗い、子供や動物と遊ぶ ● 中等度の運動; ウォーキング、速歩、サイクリング、ボーリング 卓球、バトミントン、ゴルフ、ダンス、水中歩行
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★運動時間★
・1日20分以上(まとめてでも、細切れでも) ・週に150分以上、週3回以上
が理想的です。 |
運動強度は人により、年齢により、様々です。
とにかく続けることが大切で、続けることで心も身体リフレッシュできます。
今回のお話は、日本糖尿病協会の療養指導雑誌を参考に纏めました。
公益社団法人日本糖尿病協会 (nittokyo.or.jp)
2022年、何かひとつでも続けられる運動を見つけてみてくださいね。
おおやぶ内科・整形外科 副院長 大藪 知香子
糖尿病内科専門医・指導医 総合内科専門医